「コンプリケーションウォッチ」と呼ばれる時計は、数百万円~1億円以上の値段がつけられています。
時計の真の価値、それはその中身によって決まります。値段に値する複雑な機構であり、それを開発・製作するには、熟練時計師の高度な技術が必要になってきます。
コンプリケーション(Complication)とは日本語で「複雑」という意味ですが、時計の世界の用語としては、「複雑機構」すなわち「非常に高度な技術が込められている時計」のことをさします。
今回はその高度な技術のうち、「4大コンプリケーション」と呼ばれる機能のひとつ、ミニッツリピーターについてご紹介いたします。

ミニッツリピーター

リピーター(Repeater)とはゴングの打音によって時刻を知らせる機構のことで、15分単位で知らせるクオーター・リピーター、5分単位で知らせるファイブミニッツ・リピーター、1分単位で知らせるミニッツ・リピーターなどがあり、中でも1分単位までを知らせるメカニズムは極めて複雑で、ミニッツ・リピーターの製造には非常に高度な技術が必要とされます。

もともとミニッツ・リピーターは、夜光塗料がなかった時代に暗闇で、または懐中時計を懐中から出さない時刻状態でも時刻を知るために開発されました。
この機構の開発により、時計がポケットの中に入っているときや、暗闇にいるときにでも時計の音で時刻を知ることが可能になりました。

時計の側面にあるレバーを引くことで、鐘の音色や回数で現在時刻を知らせてくれます。機械式でこれを実現するためには
ボタンやレバーを作動させ、分単位で時刻を知らせる。 主には音色や鐘の数によって知らせ、次のようにして時刻を知らせます。

時→15分→分の順で高低の異なる音が鳴る。

1時34分なら、
キン(時×1回)
コンコン(15分×2回)
カンカンカンカン(分×4回)

始動させれば、時刻に応じて摘歯付きレバーが移動。そのレバーの位置に応じて、さらにレバーや歯車が連動し、ハンマーが作動。ムーブメントを取り巻くワイヤー状のゴングを叩くという仕組みです。

音色は、使用されている素材や時計の大きさなどによってそれぞれ異なり、時計職人達はより美しい音色を追求し、多くの時間を費やしています。
現在は、音で時刻を知るというよりも、ミニッツ・リピーターの複雑な造りや音色に魅了されるコレクターが増えています。
いろいろな時計を手に取って、それぞれ異なる音色を楽しんでみたいものですね!

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