「コンプリケーションウォッチ」と呼ばれる時計は、数百万円~1億円以上の値段がつけられています。
時計の真の価値、それはその中身によって決まります。値段に値する複雑な機構であり、それを開発・製作するには、熟練時計師の高度な技術が必要になってきます。
コンプリケーション(Complication)とは日本語で「複雑」という意味ですが、時計の世界の用語としては、「複雑機構」すなわち「非常に高度な技術が込められている時計」のことをさします。
今回はその高度な技術のうち、「4大コンプリケーション」と呼ばれる機能のひとつ、パーペチュアルカレンダー(永久カレンダー)についてご紹介いたします。
パーペチュアルカレンダー(永久カレンダー)
パーペチュアルカレンダーとは、日付の調整が不要で、閏年(うるうどし)まで計算してくれる機構です。 パーペチュアル(perpetual)が「永久」を意味するので「永久カレンダー」とも呼ばれることも。 クォーツ式時計と異なり、機械式時計で再現するには、こちらも大変高い技術が必要となります。
このパーペチュアルカレンダーの機構はクロノグラフやムーンフェイズなどの機構と組み合わせた形で作られるのが一般的です。
仕組みはこうです。
日付変更レバーAとつながる歯車が日付歯車B。この日付歯車は31枚でできています。この日付歯車と噛み合っている歯車が年歯車C。この年歯車は4年分の情報の歯数12カ月×4年分=48枚。その歯車と重なっている歯車Dは、月の経過を制御し、それには31日、30日、28日の月のパターンの情報が組み込まれています。
1年の長さは正確には365日5時間48分46秒で、4年に一度の閏年はこの5時間48分46秒のズレを調整するためにあります。
そして、西暦が4で割り切れる年すべてが閏年とされていますが、この決まりだととグレゴリウス歴の方が長くなってしまいます。そのため下2桁が00になる年を例外とし平年としましたが、これに加えさらに例外が設けられており、下2桁が00であっても100年のケタが4で割り切れる年は例外です。
つまり、400年に3回、閏年がこない年ができます。
近年でこれにあてはまるのが2000年、2100年で、これに合わせて歯車の情報の誤差調整が必要になるため、現在のパーペチュアルカレンダーを搭載した時計は、西暦2100年まで対応のものが多くなっています。
ちなみに、あまりに機構が精密なパーペチュアルカレンダーは、素人判断でカレンダーを早送りさせたりすると、元通りに直すことが極めて困難だそうで、直すためにメーカーのプロの時計職人に調整してもらうことになりますが、その際のメンテナンス代は信じられないほど高額とのことです…。
精密な造りのものは、やはりむやみやたらにはいじらない方がよさそうですね…。